骨盤ベルトの
必要性の有無
産院などで、妊娠中や産後に骨盤ベルトを指導されることがあると思います。このページでは骨盤ベルトの必要性の有無と装着方法について書いていきます。
まず、必要性においては、骨盤ベルトを装着することで、「骨盤性の腰痛」や「骨盤周囲の不快症状」に対して効果があること、妊娠中や産後早期では、骨盤ベルトの装着を外してしまうと、その効用は持続せず、得られないということが研究で分かっています。
さらに、骨盤の不安定性の予防の効果はなく、ヨーロッパの「妊婦の骨盤痛の治療と診断のガイドライン」においても、 治療としての骨盤ベルトの単独使用は推奨されておらず、短期的な使用においてのみ有効であるとされています。
つまり、一時的な痛みを軽減するためには必要な場合もありますが、必ずしも使用しなければならないという訳ではありません。
また、骨盤がズレたまま骨盤ベルトをすると、ズレたまま骨盤が固定されてしまう場合もありますので、一度カイロプラクティックを受けることをオススメします。
当院でも骨盤ベルトを巻く前の骨盤矯正および正しい装着方法の指導を行っておりますので、是非ご相談ください。
骨盤ベルトの
必要性の判断方法
・骨盤ベルトを使用することで、腰痛や骨盤の痛みが軽減する
・骨盤ベルトを使用することで、歩きやすくなる
・骨盤ベルトを使用することで、疲れにくくなる
・骨盤ベルトを使用することで、抱っこが楽になる
・下記の検査方法をしてみる
簡単な検査方法
@ 仰向けに寝て、片足ずつ脚を伸ばしたまま5〜20cm拳上する
A その動作をすることで
・腰痛や骨盤周囲に痛みが出る
・左右の足の重さに違いが出る
B 骨盤ベルトをして再検査
C 痛みが軽減 or 脚の拳上が明らかにしやすくなれば、骨盤が不安定になっている可能性が高いため、骨盤ベルトを巻いて様子を見る
推奨しない骨盤ベルト
妊娠中や産後用に販売されているものの中には、装着するのに適していないベルトもあるため、注意が必要です。
上の図のように、腹部全体を圧迫するタイプのコルセットタイプのベルトは、ギックリ腰の時には有効なのですが、妊娠中や産後には適していません。
コルセットタイプのベルトは必要以上に腹圧を亢進させてしまい、
尿漏れや子宮脱の原因になることもありますし、
腹筋や骨盤底筋など骨盤を支える筋肉の弱化を引き起こすこともあります。
つまり、
骨盤ベルトによっては産後の回復や体型の戻りを悪化させてしまう場合があるのです。
骨盤ベルトの幅の目安としては、座った時に腹部を圧迫しないものを選ぶようにしましょう。
正しい巻き方
骨盤ベルトを正しく装着するためには、骨盤の構造と機能を考慮する必要があります。
上の図のように、骨盤には仙腸関節(せんちょうかんせつ)と恥骨結合(ちこつけつごう)という部位があり、妊娠中や産後にはその部位の可動性が亢進し、骨盤の不安定性やグラグラ感が出てきます。
そして、その仙腸関節と恥骨結合を結んだラインを
骨盤輪(こつばんりん)と言い、骨盤ベルトはそのラインに沿って巻くことで効果を発揮します。
ジーンズで言うと、仙腸関節はジーンズの後ろのベルト穴の下あたり、恥骨結合はチャックの下あたりにありますので、そのラインを結ぶようにして装着することで骨盤輪がしっかりと支えられます。
上の図のように、巻く場所によっては骨盤に悪影響が出ることもあるので、注意が必要です。
装着方法を確認したい方は、施術を受ける際に骨盤ベルトをご持参ください。