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研究の紹介HEADLINE

現代日本人の頚椎X線アライメントと首・肩の凝りの関連

The relationship between cervical X-ray alignments of modern Japanese people and neck stiffness

Abstract

Purpose To investigate the relationship between neck stiffness, and the types of  cervical curvature, cervical gravity line, and the angle of the cervical curve.

Object211 lateral views of cervical X-rays in the students of RMIT university of chiropractic unit Japan. The kinds of cervical complaints on the medical records of Shinbashi out patient center, which were taken before taking x-rays, were investigated.

MethodThe angle of the cervical curve and cervical gravity line were measured. The cervical curvatures were classified into several types introduced by Matsumoto, MD.

Result and conclusionThe average of cervical lordosis was 27.8±10.7 and 29.5% decreased compared with normal of 40°.While the normal cervical gravity line passes through C7 vertebral body, it was 7.9±9.7mm forward of the body in this research. The 41.6 % of the cervical curvatures were classified into cervical lordosis type. 28.1% were cervical kyphosis type, 15.8% were straight cervical type, 0.9% were S curve type and 13.6% were reverse S curve type. The cervical lordosis type was the largest number. There were no relationship between neck stiffness, and the measurement of the angle and cervical gravity lines and types of cervical curvature. 

要旨

目的
1)現代日本人の頚椎前弯角、頚椎重力線、頚椎弯曲形態の実態把握、2)それぞれの計測結果と首・肩の凝りとの関連を検討することである。

対象と研究方法
1996〜2007年に
RMIT大学日本校のX線診断学での授業で撮影された221例の頚部X線画像を使用し、対象者のカルテから首・肩の凝りの症状の有無とその種類を調査した。さらに、X線写真から1)頚椎前弯角、2)頚椎重力線、3)頚椎弯曲形態の評価を行い、各計測結果と首・肩の凝りとの関連を検討した。統計学的検討にはt検定とカイ2乗検定を用い、有意水準5%未満を有意差ありとした。

結果
頚椎前弯角の平均値は、
27.8±10.7°であり、一般的な正常値と言われている40°と比較すると明らかに小さかった。頚椎重力線は、通常C7椎体を通過すると言われているが、今回の計測では、C7椎体より7.9±9.7mm前方に位置していた。頚椎弯曲形態は、前弯型が41.6%、後弯型が28.1%、直線型が15.8%、S字型が0.9%、逆S字型が13.6%であり、前弯型が最も多かった。そして、それぞれの計測結果と首・肩の凝りとの関連を検討した結果、頚椎前弯角、頚椎重力線、頚椎弯曲形態は首・肩の凝りと有意な関連は認められなかった。この事実は、頚椎アライメントと首・肩の凝りとの関係がないことを示している。

考察
今回の研究で、現代日本人の頚椎前弯角は減少し、頭部が前方位にある傾向であることが分かった。このことから、生活環境の変化によって頚椎アライメントに変化が起きていると考えられるが、今回の研究は対象が学生のみであるため、今後、大規模な調査を行うことでより正確性が出てくると考えられる。また、今回計測した頚椎前弯角、頚椎重力線、頚椎弯曲形態は、首・肩の凝りと関連が認められなかった。このことから、頚部のアライメントと首・肩の凝りは有意な関連がなく、その他の要因が関わっていることが示唆された。


はじめに

IT化によって企業事務の効率化が進む一方で、コンピュータなどを長時間使うことで、8割近くの人が身体的疲労を感じていることが厚生労働省の「2003年技術革新と労働に関する実態調査」で分かっている。1)身体的疲労を症状別に見ると「目の疲れ・痛み」に続いて「首、肩の凝り・痛み」は69.3%にのぼっており、これをカイロプラクティック(以下カイロ)の視点で考えると、パソコンへ向かう際に見られる不良姿勢などが筋骨格系に過度な負担をかけ、首・肩の凝りの一つの要因となっている可能性がある。

こうした不良姿勢の典型例は、頭部の前方変位、胸椎後弯の増強、上腕骨の内旋、および肩甲骨に対する上腕骨頭の前方変位であり、頭部の前方変位による環椎後頭関節の伸展、下位頚椎の屈曲、肩甲骨の外旋と外転、上腕骨の内旋、前方変位、胸椎後弯の増強などの位置関係の変化が起きていると言われている。2)

カイロのマネジメントにおいて、静的評価と動的評価を行う中で、X線写真による分析は静的評価として優れている。そして、X線写真による疫学的なデータは、カイロプラクターにとって視診や触診における判断の裏付けになると考えられているが、現代日本人における頚椎アライメントと首・肩の凝りとの関連を、多くのX線指標を用いて調査された研究はなされていない。

本研究の目的は、安静立位姿勢の頚部X線像に基づき、様々なX線指標と首・肩の凝りとの関連を明らかにすることである。

 

1.対象

対象は、19962007年にRMIT大学日本校のX線診断学での授業で撮影された頚部X線画像である。このX線画像は、同施設、同技術者によって撮影されており、撮像方法は自然に正面を向いた中間位の状態で、焦点−フイルム間距離は100150cmの間で行われた。また、加齢的変性の可能性を除外するため年齢は39歳までとし、対象である308例のうち、読影困難なもの、カルテ不在のものなどを除外し、男性172例、女性49例の合計221例を使用した。そして、新橋外来センターに保存してある対象者のX線写真撮影以前の対象者のカルテから首・肩の凝りの症状の有無とその種類を調査した。対象者の年齢の平均は25.0歳で、男女別に見ると、男性25.0歳、女性24.8歳であった。

 

2.研究方法

頚部X線写真から1)頚椎前弯角、2)頚椎重力線、3)頚椎弯曲形態の評価を行い、各計測結果と首・肩の凝りとの関連を検討した。統計学的検討にはt検定とカイ2乗検定を用い、有意水準5%未満を有意差ありとした。解析には、StatMateVを使用した。 各々の測定方法は2-12-22-3参照。

 

2-1.頚椎前弯角

 環椎前結節と後結節の中点を通る直線の垂線と
 C7椎体下部終板を通る直線の垂線がなす角度。(図1参照)3)

 正常値:40°
 正常範囲:35〜45°



   図1

2-2.頚椎重力線を利用した頭部前方位の程度

 頭位の矢状面上の水平距離を「頭部前方位」とし、
 C7の下部終板の前端から歯突起尖を通る垂線(頚椎重力線)までの距離。
 正常であれば、C7椎体を通過する。(図2参照)3)

 頚椎重力線がC7の下部終板よりも前方にある場合を「+」、後方にある場合を「−」、
 椎体内にある場合を「0」とした。


   図2

2-3.頚椎弯曲形態

頚椎の弯曲形態の分類は、松本らの頚椎弯曲の分類に従った。歯突起後下縁と第7頚椎椎体後下縁を結ぶ基準線を引き、第3頚椎から第6頚椎椎体後下縁から基準線に対して垂線を引き、その距離を計測した。(図3参照)基準線より前方を(+)、接するものを0、後方のものを(-)とした。基準線からの距離が1つは2mm以上あるもので、全て(+)0を含む)を前弯型、全て()0を含む)を後弯型、2mm以下で全て()0を含む)または全て()0を含む)を直線型、基準線からの距離に関係なく()()が混在し、上位の頚椎が()で下位の頚椎が()を逆S字型、()()が混在し、上位の頚椎が()で下位の頚椎が()S字型に分類した。(図4参照)4)


 
 前弯型:a1〜4がすべて(+)で1つは2mm以上
 
 後弯型:a1〜4がすべて(−)で1つは2mm以上
 
 直線型:a1〜4がすべて(+)またはすべて(−)で2mm以下

 S字型:a1〜4に(+)(−)が混在し、 上位の頚椎が(+)で下位の頚椎が(−)

 逆S字型:a1〜4に(+)(−)が混在し、 上位の頚椎が(−)で下位の頚椎が(+)

     図3
 
   前弯型         後弯型         直線型        S字型        逆S字型

                          図4

3.結果

3-1.実態把握

頚椎前弯角の平均値は、27.8±10.7°であり、一般的な正常値と言われている40°と比較すると明らかに減少していた。男女別に見ると、女性のほうが前弯が減少傾向にあった。(表1参照)

頚椎重力線は、通常C7椎体を通過すると言われているが、今回の計測では、C7椎体より7.9±9.7mm前方に位置していた。男女別に見ると、男性のほうがより頭部が前方にあることが分かった。(表1参照)

頚椎弯曲形態は、前弯型が41.6%、後弯型が28.1%、直線型が15.8%、S字型が0.9%、逆S字型が13.6%であり、前弯型が最も多かった。男女別に見ると、男性は前弯型が、女性は後弯型が多かった。(表2参照)


1 頚椎前弯角と頚椎重力線の実態把握

男性 女性 全体
前弯角 29.1±10.1 23.6±11.5 27.8±10.7
頚椎重力線 8.6±10.4 5.2±6.0 7.9±9.7

2 頚椎弯曲形態の実態把握
前弯型 後弯型 直線型 S字型 逆S字型
男性 47.10%(81人) 22.10%(38人) 14.50%(25人) 1.20%(2人) 15.10%(26人) 172
女性 22.40%(11人) 44.90%(22人) 24.50%(12人) 0.00%(0人) 8.20%(4人) 49
全体 41.60%(92人) 27.10%(60人) 16.70%(37人) 0.90%(2人) 13.60%(30人) 221

3-2.頚椎前弯角の角度・形状と首・肩の凝りとの関連

頚椎前弯角の角度・形状(減少:29°以下、正常:3545°、過剰:46°以上)と首・肩の凝りとの関連をそれぞれ、t検定とカイ2乗検定を用い、検討した結果、有意な関連は認められなかった。首・肩こりあり群となし群の平均値の差は、1.8°であった。(表3参照)

3 頚椎前弯角の角度・形状と首・肩の凝りとの関連

減少 正常 過剰 平均値
首・肩こりあり 68.80%(86人) 25.60%(32人) 5.60%(7人) 28.6±10.2 125
首・肩こりなし 79.20%(76人) 15.60%(15人) 5.20%(5人) 26.8±11.2 96
73.30%(162人) 21.30%(47人) 5.40%(12人) 27.8±10.7 221


3-3
.頚椎重力線・頭部の位置と首・肩の凝りとの関連

頚椎重力線・頭部の位置と首・肩の凝りとの関連をそれぞれ、t検定とカイ2乗検定を用い、検討した結果、有意な関連は認められなかった。首・肩こりあり群となし群の平均値の差は、1.8mmであった。(表4参照)

4 頚椎重力線・頭部の位置と首・肩の凝りとの関連

前方 正常 後方 平均値
首・肩こりあり 59.20%(74人) 37.60%(47人) 3.20%(4人) 7.1±9.0 125
首・肩こりなし 61.50%(59人) 32.30%(31人) 6.30%(6人) 8.9±10.3 96
60.20%(133人) 35.30%(78人) 4.50%(10人) 7.9±9.7 221


3-4
 頚椎弯曲形態と首・肩凝りの関連

頚椎弯曲形態と首・肩凝りの関連をカイ2乗検定を用い、検討した結果、有意な関連は認められなかった。(表5参照)

5 頚椎弯曲形態と首・肩凝りの関連

前弯型 後弯型 直線型 S字型 逆S字型
首・肩こりあり 45.60%(57人) 25.60%(32人) 18.40%(23人) 0.80%(1人) 9.60%(12人)
首・肩こりなし 36.50%(35人) 29.20%(28人) 14.60%(14人) 1.00%(1人) 18.80%(18人)
41.60%(92人) 27.10%(60人) 16.70%(37人) 0.90%(2人) 13.60%(30人)

3-5.頚椎前弯角が減少している場合での頚椎弯曲形態と首・肩の凝りとの関連

頚椎前弯角が減少している場合での頚椎弯曲形態と首・肩の凝りとの関連をカイ2乗検定を用い、検討した結果、有意な関連は認められなかった。(表6参照)

6 頚椎前弯角が減少している場合での頚椎弯曲形態と首・肩の凝りとの関連

前弯型 その他の型
首・肩こりあり 31.4% (27人) 68.6% (59人) 86
首・肩こりなし 25.0% (19人) 75.0% (57人) 76
28.4% (46人) 71.6% (116人) 162


3-6
.頭部が前方にある場合での頚椎弯曲形態と首・肩の凝りとの関連

頭部が前方にある場合での頚椎弯曲形態と首・肩の凝りとの関連をカイ2乗検定を用い、検討した結果、有意な関連は認められなかった。(表7参照)

前弯型 その他の型
首・肩こりあり 37.8% (28人) 62.2% (46人) 74
首・肩こりなし 67.8% (20人) 66.1% (39人) 59
36.1% (48人) 64.0% (85人) 133


4
.考察

今回の研究で、現代日本人の頚椎前弯角は減少し、頭部が前方位にある傾向であることが分かった。このことから、生活環境の変化によって頚椎アライメントに変化が起きていると考えられる。McAvineyらの研究で、頚椎前弯角が20°以下の場合、3140°の群よりも頚部症状を持ちやすいことがわかっており、5)Lisa A ferraraらの研究では、頚椎前弯の減少により頚部外傷の危険性が上がることが分かっている。6)また、Chiu TTらの研究では、コンピュータ使用中の頭部前方位は、頚部症状と有意な関係があることが分かっており、7)Lee WYらの研究では、頭部前方位と顎関節症に有意な関連があることが分かっている。8)

カイロでは頚椎アライメントを重視しており、サブラクセーションを決定する指標とする場合もある。しかし、今回計測した頚椎前弯角、頚椎重力線、頚椎弯曲形態は、首・肩の凝りと関連が認められなかった。このことから、X線上での頚部のアライメントと首・肩の凝りは有意な関連がなく、その他の要因が関わっていることが示唆された。今後の展望として、今回の研究は撮影施設・撮影者は、統一しているものの、撮影時の姿勢を統一できていない可能性があるため、撮影条件を統一することで、より正確な検討ができると考えられ、対象を学生のみではなく、大規模な調査を行うことでより正確性が出てくると考えられる。

また、X線分析による頚椎アライメントと首・肩の凝りの関連のみの検討である。今後は、Jandaの提唱する上位交差症候群に基づく筋肉のインバランス等を考慮した検討や、頚椎アライメントを改善することで頚部の症状がどう変化するかについての前向き研究が求められる。

 

5.結語

.現代日本人の頚椎前弯角、頚椎重力線、頚椎弯曲形態の実態を把握した。
2.上記の計測結果と首・肩の凝りとの関連を検討した。

 
6.謝辞

 本研究を遂行するにあたり、RMIT大学日本校の、竹谷内宏明先生、五十嵐由樹先生、竹谷内克彰先生に御指導、御鞭撻を賜り、心より感謝を申し上げます。また、快くX線写真を提供していただいたRMIT大学日本校に感謝いたします。

7.参考文献

12003年技術革新と労働に関する実態調査:厚生労働省
2.ペインクリニック vol.28(2007.10) 別冊秋号,pp497-501
3.体系 骨・関節の画像診断 T, T. R. Yochum & L. J. Rowe, 福田 国彦 監訳, pp.152-167, エンタプライズ
4.正常人頚椎弯曲に関する X 線学的研究, 松本 守雄, 鈴木 信正, 小野 俊明, 藤村 祥一:1996.06, 財団法人 姿勢研究所
5McAviney JDetermining the Relationship Between Cervical Lordosis and Neek Complaints.Journal of Mnipulative and Physiological Therapeutics, March/April;28(3):187-93 2005
6Lisa A ferraraA Biomechanical Study to Assess the Affect of Cervical Spine Posture on the Axial Load Berring Ability.
7Chiu TTA study on the prevalence of and risk factors for neck pain among university academic staff in Hong Kong.J Occup Rehabil.2002 jun;12(2):77-91
8Lee WYThe relationship forward head posture and temporomandibular disorders.:J Orofac pain.1995 spring;9(2):161-7.